今年に入ってコロナウィルスの影響から、株式相場が乱高下しています。
株価がこれだけ大きく変動するのは、株式が自由に売買できるからです。
大量に売ることができれば、大量に買うこともできます。
ただし、売買に制約を設けられている株式もあります。
譲渡制限株式
株式を譲渡する際に、会社の承認が必ず必要となる「譲渡制限株式」(非公開株式)というものがあります。
特に、中小企業などでは株式を勝手に譲渡されると経営に支障をきたすため、第三者による株式の取得を防止する譲渡制限が設けられています。
譲渡制限株式の場合、会社の承認を得ずに勝手に譲渡したとしても、買主はその効力を会社に主張できません。
譲渡方法は会社の定款によって定められており、通常では取締役会、または株主総会の承認を必要としています。
なお、制限の内容は定款で自由に定めることができます。
例えば、『取締役会の承認を得ずして発行済み株式数の5%以上の株式の譲渡を不可とする』、『株式の譲渡は数量に関わらず取締役会の承認を要する』などと規定できます。
株式譲渡自由の原則
株主は自分の株式を他人に有償で譲渡することが会社法で認められています。
これを「株式譲渡自由の原則」と言います。
要するに、譲渡制限株式はあくまでも手続き上の例外扱いでしかなく、譲渡制限株式だから「譲渡不能」ということではありません。
例えば、株主が具体的な譲渡先などを明示し、会社に対して譲渡の承認を請求してきた場合、会社はその譲渡の可否を株主に通知することになります。
そして、拒否する場合は、譲渡不承認の通知から40日以内に会社が当該株式を買取るか、他の株式買受者を指定しなくてはなりません。
つまり、株主に対して譲渡先を確保する義務があるということです。
譲渡制限株式の譲渡手順
譲渡制限株式の譲渡の手順は以下になります。
1)会社に対して友好的な買受者を探し、株式譲渡の約束を交わします。その際は、会社との事前のすり合わせが必要です。
2)譲渡する株主は定款に定められた承認機関に株式譲渡の承認を請求します。
3)承認が得られたら譲渡契約書を作成し、売買代金の受渡しをします。譲渡株主と買受者は会社に株式名簿の書換えの請求をします。
4)会社が株主名簿を書換えたら、買受者は株主名簿記載事項証明書の発行を会社に請求します。会社がこれを交付すれば株式の承継手続きは完了です。
なお、株券を発行していない企業であっても、株主は株主名簿に記載されており、譲渡手順は変わりません。
株式の売買価格
非上場株式には市場価格がないため、売買価格は会社の財務内容を基本に計算します。
非上場株式の株価の評価方法には、主に以下の3つがあります。
①類似業種比準方式
類似した上場会社の株価を基準にして計算します。
②純資産価額方式
会社の資産と負債を基準にして、1株当たりの評価額を計算します。
③配当還元方式
会社から受取る配当額に基づいて、1株当たりの評価額を計算します。